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Travel and Textile : The Rabaris and sheep

ラバリ族と羊 2020.07.03
ラバリ族と羊

カッチに沢山の少数民族がいるなかで中々出会えない民族 "ラバリ族" 。
ミルズのウール製品はほとんどこの遊牧民族の羊毛で出来ている。

村から帰宅する道の途中で、刺繍の村から帰る夕暮れ時の村の入り口で、道路沿いなど、いつも突然目の前に現れるので車をチャーターしない限りじっくりと見ることはできない。

カッチの羊は毛が刈られてしまうと耳が垂れているので山羊に見える。そのために以前会ったときは山羊かと思っていたので、見過ごしていたらしい...。

角もメリノ種とは違う。毛もストレートヘアに近い種。
糸にして紡いで織るとコシの強いザラザラとしたイギリスの手織物のような風合いだが、手で紡いでいるので撚りが甘いためか柔らかさもある。
無染色で織ると様々な個体の黄みがかった色合いが混じり合い自然なボーダー模様をつくりだす。
できあがった生地は、長い年月を経てきたようなヴィンテージやアンティークのような特徴的な生地になる。
この特徴は全てそれぞれの個体からなるのだなと思うと、ミルズで使用している生地が羊に見えてくるような気がした。

その時はドライバーに車を停めてもらい1人ではしゃいで群れの中に立ち、私を避けて通る羊を眺めつつ映像に納め、写真を撮り、名残惜しそうに車に乗る私をみてドライバーは、何がそんなに嬉しいのかと苦笑していた。

その後、何度となく羊飼いに会うことはできたのだが、いつも突然目の前に現れたため、同行していた写真家は納得の写真が収められていなかったらしい。
出たとこ勝負の偶然の出会いは中々難しい。

最終日に懇意にしてる職人が宿に挨拶に寄ってくれ羊飼いを追いかけた旅の話をしたところ、「早く言ってくれれば! いつも刺繍をお願いをしているラバリ族がいるから明日の出発を早めて訪ねたら良いよ」と言ってくれた。
そして、カッチ語の通訳としてガイドも紹介してくれた。

まさか遊牧の民の拠点行けるとは、その前の日には思いもよらなかった。