工房内で水が跳ねる音が響く。
2人1組、手作業にて漉かれていくコットンペーパーは、柔らかな質感をもつ綿からできる紙。
インド紙漉きの歴史は、およそ16世紀ムガル帝国時代まで遡り、職人はトルコからインドに渡ってきたといわれている。かれらは、ラジャスタン、グジャラート、マハラシュトラ、パキスタンへと定住していった。
伝統的に紙漉きに携わる人々を "カグジ" (Kagz community)と呼び、その名はウルドゥー語で "紙" という語源 "Kagaz" から派生したという。
一部のカグジたちは、16世紀のアンベール(現在のラジャスタン州ジャイプール)統治者であるラジャマンシン(Raja Man Sigh)によって、近郊の豊富な水源をもつサラスワティ川辺にある村、現在の "サンガネール" へと移住した。
現在でもその地で紙づくりは行われおり、基本的な工程は変わらない。
近郊の縫製工房から出た生地端は、まずは漂白され細かく裁断される。次に、古紙(コットンペーパー)と布片を混ぜ、機械で原料をたたきパルプにする。2人1組で木枠を持ち水槽の中に浸け、繊維状になったパルプ入れ、ゆすりながら均していく。均した紙の上に荒い生地をのせ、ひっくり返し木枠から取り外す。その後、紙が密着しないよう紙・生地と重ねられた状態で圧力をかけ、水分を取り除き乾燥させ完成する。
このように手作業でつくられるコットンペーパーは、荒い生地目が残る質感、布のような風合いを感じられる優しい手触りが、手に取る人に特別な余韻を残してくれる。
Source: D'Source - by Prof. Bibhudutta Baral, Ms. Anisha Crasto and Ms. Anushree Kumar NID, BengaluruKUMARAPPA NATIONAL HANDMADE PAPER INSTITUTE